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2009年09月03日 14:48

最近の読了記録
(29)「運命の書(上)」 ブラッド・メルツァー著/角川書店
(30)「運命の書(下)」 ブラッド・メルツァー著/角川書店


前大統領補佐官が、襲撃事件で自身が負ったトラウマと戦いながらも巨大な陰謀に巻きこまれる政治スリラー。
退職後のアメリカ大統領を描いた小説はなかなかお目にかかれないと思います。
その点ではとても興味深く、へえぇー、こんなことも気にするんだー、とかつぶやきながら読んでしまいました。
現職との対比のつけかたがおもしろいです。
日本でも首相経験者は潔く引退すべきだよなぁ……今回の衆院選を見ていて強く感じました。

帯には「聖なる象徴」とか「フリーメイソン」とかド派手な語句が踊ってますが、本筋にはあまり関係がなく、どちらかというと主人公であるウェスの再生の物語といった感じをうけました。
フリーメイソンがDCの建築物で描いた図形も、それによって何がもたらされたのかも不明だし、クロスワード・パズルの暗号もイマイチ。
……ダン・ブラウンばりのパズルゲームを期待していたので、ちょっと肩透かしをくらった気分。
でも、顔に大きな傷を負ったウェスがトラウマと闘うところや、それでも未来を見据えて生きてゆこうとするところはとても好感が持てました。
ウェスの視点は一人称現在形、そのほかの場面は三人称過去形でストーリーが進んでゆくのも翻訳ものならではですね。

この手の政治スリラーものらしく、アメリカの歴史や宗教や政治に関したちょっとしたジョークがところどころ差し挟まれています。
でも、アメリカ人以外にはなじみがないという以上に、おそらく原書でもやっぱりスベッた感のあるジョークなんだろうな、という「もう一声!」みたいなシーンが鼻についたのが残念。
……それとも、ウェスとやりとりしているロゴ自身がそういうキャラクターなんでしょうか(笑)。




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