2009年07月13日 13:52
最近の読了記録
22)「私たちの幸せな時間」 コン・ジヨン著/新潮社
韓国の女流作家、孔枝泳さんの描く、死刑囚と元人気歌手の切ないラブストーリー。
自殺未遂をくりかえすユジョンは、シスターである叔母のモニカに誘われて仕方なく死刑囚に面会する。
死までのカウントダウンが始まっているユンスと接するうちに、ひとりの人間として公平に接したいという気持ちがめばえてゆく。
佐原ミズさんで漫画化もされており、そちらは舞台が日本になっています。
死刑囚がどんな生活を送っているのか、この本を読んではじめて思い至りました。
刑の執行がいつおこなわれるかわからず毎朝死の恐怖に直面することも、教誨師という職業があるのだということも。
生きることが希望だとすれば、ユジョンもユンスも希望をはぎとられた人たちだと思う。
だけど面会の回数が増えるごとに希望がめばえてきて、だんだん怖くなる過程がすごくよくわかる。
人間って大事なものを見つけると、今度はそれをなくすんじゃないかという恐怖が生まれるんだよね。
おそらくそれが、時と場合により「勇気」につながったり「怒り」につながったりするんだろうけど。
まじりっけのない100%善人も100%悪人もいなくて、ただちょっと善と悪の分量が変わるだけなんだ、という解釈がすごくまっとうなものに思えます。
「許す」ことのほんとうの意味や宗教のありがたみなど、なんとなくこういう方向じゃないかなあと考えていたものを言葉にしてもらった感じ。
マンガのほうもとても繊細な絵柄で、ふたりの表情が切なくて、どちらの本もずっと手元に残して時々読み返そうと思います。
23)「動物園で逢いましょう」 五條瑛著/双葉社
鉱物シリーズの葉山・坂下コンビふたたび!
『プラチナ・ビーズ』『スリー・アゲーツ』を読んでから、このふたりにまた会いたいと思っていたので、とても楽しく読みました。
7本の短編が収録された本書は、仕事の手際がちょっとレベルアップしたような気もするけど、葉山はやっぱり葉山のままだし、坂下はこれぞ坂下って感じのSOBっぷり(笑)。
こういう仕事をしながらみんな優秀な分析官になるんだろうか。
エディのやらしさは鼻につくけど、五條さんの書く登場人物はすごく生き生きとしていておもしろい。
やってることはすごーくヤバいのに、へんな虚ろさというか暗さがなくて飄々としている。
坂下が某基地のあたりをうろうろする場面で、個人的にはむしょうに懐かしくなった。
わたしも葉山と同じで軍人なんてごめんこうむるけど、坂下は憎めないな(笑)。
22)「私たちの幸せな時間」 コン・ジヨン著/新潮社
韓国の女流作家、孔枝泳さんの描く、死刑囚と元人気歌手の切ないラブストーリー。
自殺未遂をくりかえすユジョンは、シスターである叔母のモニカに誘われて仕方なく死刑囚に面会する。
死までのカウントダウンが始まっているユンスと接するうちに、ひとりの人間として公平に接したいという気持ちがめばえてゆく。
佐原ミズさんで漫画化もされており、そちらは舞台が日本になっています。
死刑囚がどんな生活を送っているのか、この本を読んではじめて思い至りました。
刑の執行がいつおこなわれるかわからず毎朝死の恐怖に直面することも、教誨師という職業があるのだということも。
生きることが希望だとすれば、ユジョンもユンスも希望をはぎとられた人たちだと思う。
だけど面会の回数が増えるごとに希望がめばえてきて、だんだん怖くなる過程がすごくよくわかる。
人間って大事なものを見つけると、今度はそれをなくすんじゃないかという恐怖が生まれるんだよね。
おそらくそれが、時と場合により「勇気」につながったり「怒り」につながったりするんだろうけど。
まじりっけのない100%善人も100%悪人もいなくて、ただちょっと善と悪の分量が変わるだけなんだ、という解釈がすごくまっとうなものに思えます。
「許す」ことのほんとうの意味や宗教のありがたみなど、なんとなくこういう方向じゃないかなあと考えていたものを言葉にしてもらった感じ。
マンガのほうもとても繊細な絵柄で、ふたりの表情が切なくて、どちらの本もずっと手元に残して時々読み返そうと思います。
23)「動物園で逢いましょう」 五條瑛著/双葉社
鉱物シリーズの葉山・坂下コンビふたたび!
『プラチナ・ビーズ』『スリー・アゲーツ』を読んでから、このふたりにまた会いたいと思っていたので、とても楽しく読みました。
7本の短編が収録された本書は、仕事の手際がちょっとレベルアップしたような気もするけど、葉山はやっぱり葉山のままだし、坂下はこれぞ坂下って感じのSOBっぷり(笑)。
こういう仕事をしながらみんな優秀な分析官になるんだろうか。
エディのやらしさは鼻につくけど、五條さんの書く登場人物はすごく生き生きとしていておもしろい。
やってることはすごーくヤバいのに、へんな虚ろさというか暗さがなくて飄々としている。
坂下が某基地のあたりをうろうろする場面で、個人的にはむしょうに懐かしくなった。
わたしも葉山と同じで軍人なんてごめんこうむるけど、坂下は憎めないな(笑)。
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