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読了

2009年04月20日 11:37

最近の読了記録
14)「暴雪圏」 佐々木譲著/新潮社


『制服捜査』と同じ川久保巡査が活躍する長編警察小説。
川久保の視点だけでなくいろんな人物の背景を掘り下げながら進むので
臨場感があってあっというまに読み終わってしまいました。
北海道の遅い春というか、彼岸でも油断ならない雪嵐のようすが
これでもかっていうくらい描写されていて、読んでいて怖かったです。
アメリカに住んでいたころは自然に生かされてるって思ったことがよくあるけど、
北国の荒れ狂う雪を前にすると、ほんとうになすすべがない。
そんな雪嵐の中、さまざまな理由からペンションに足を踏みいれた人々におとずれる極限のドラマ。
どのキャラクターもふむふむと読んだけど、中でも美幸と山口のやりとりがあったかくて、
一陣のさわやかな風という印象でした。

15)「追伸」 真保祐一 文藝春秋

ある二組の夫婦のあいだで交わされた書簡形式で進むミステリ。
現代の夫婦像と、戦争をくぐりぬけてきた夫婦との対比がとても鮮やかで、
過去をどれだけ学んでも経験の足元にもおよばないんだなあと思いました。
……自由に暮らせることがどれだけしあわせかって。
貧しい時代を送っていても、誠治の一途でまっすぐな信念が時に痛々しいくらいまぶしくて、なのに
愛されているしあわせがずっと後までわからなかった春子の存在がいちばん切ない。
でも、こんな祖父母を持った奈美子がちょっとうらやましい。
学歴とか肩書きとか財産とか、何を持っているとか持ってないとかじゃなく、
生きざまっていうのかな、それを後世に示せるのって究極の人生だと思うから。




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