2009年03月30日 17:59
最近の読了記録
11)「骨の記憶」 楡周平著/文藝春秋
楡さんにしては、どことなーく「ねっとり」した話。
東北出身の貧しい主人公が上京してからのぼりつめてゆく物語という点では、
『オリンピックの身代金』と重なる部分もたくさんあったけれど、
この物語のほうが暗く、登場人物たちがいやな感じに法に触れている気がする。
どれだけ裕福になっても満たされていないし、犯罪に手を染めるのも自分のエゴという感じ。
楡氏の文章は一貫して冷徹で隙がなく、よけいな感情を植えつけられなくて読みやすい。
冒頭の清枝がよくできた愛情深い妻という印象だったのに対し、
ラストでの変貌ぶりがすさまじかった。
でも夫婦って、そこに至るまでの歴史があればこそ、
そんなにいっぺんに覆らないと個人的には思うんだけど。
『陪審法廷』のようなリーガル・サスペンスから一転、やっぱり引き出しが多くて大好きな作家。
もっともっと読みたいです。
12)「激流・上」 柴田よしき著/徳間文庫
13)「激流・下」 柴田よしき著/徳間文庫
修学旅行中に行方不明になったはずの同級生・冬葉から、二十年たってメールが届いた。
冬葉と同じ班だった6人のその後と、当時の様子を振り返りながら展開するサスペンス。
タイトルのごとく、あれよあれよと流されるようにページを繰ってしまった。
すごくおもしろかった。
事件当時は15歳だった6人がいまは35歳になっていて、それぞれに仕事や家庭がある様子や、
当時は仲がよくなかったのに35になって再会すると印象が変わっていたり。
そうした6人の描写がとてもていねいで、彼らの軌跡を追ううちにすんなりとストーリーに入り込むことができた。
柴田さんの本を読んだのははじめてですが、文章にやっかいなくせがなくて説明が上手だなと思いました。
特に編集者の仕事場や作家との関係を使ったエピソードは、へえ、こんなふうなのかな、と考えたり
この人ってあの作家っぽいな、と想像力をかきたてられたりして楽しめました。
11)「骨の記憶」 楡周平著/文藝春秋
楡さんにしては、どことなーく「ねっとり」した話。
東北出身の貧しい主人公が上京してからのぼりつめてゆく物語という点では、
『オリンピックの身代金』と重なる部分もたくさんあったけれど、
この物語のほうが暗く、登場人物たちがいやな感じに法に触れている気がする。
どれだけ裕福になっても満たされていないし、犯罪に手を染めるのも自分のエゴという感じ。
楡氏の文章は一貫して冷徹で隙がなく、よけいな感情を植えつけられなくて読みやすい。
冒頭の清枝がよくできた愛情深い妻という印象だったのに対し、
ラストでの変貌ぶりがすさまじかった。
でも夫婦って、そこに至るまでの歴史があればこそ、
そんなにいっぺんに覆らないと個人的には思うんだけど。
『陪審法廷』のようなリーガル・サスペンスから一転、やっぱり引き出しが多くて大好きな作家。
もっともっと読みたいです。
12)「激流・上」 柴田よしき著/徳間文庫
13)「激流・下」 柴田よしき著/徳間文庫
修学旅行中に行方不明になったはずの同級生・冬葉から、二十年たってメールが届いた。
冬葉と同じ班だった6人のその後と、当時の様子を振り返りながら展開するサスペンス。
タイトルのごとく、あれよあれよと流されるようにページを繰ってしまった。
すごくおもしろかった。
事件当時は15歳だった6人がいまは35歳になっていて、それぞれに仕事や家庭がある様子や、
当時は仲がよくなかったのに35になって再会すると印象が変わっていたり。
そうした6人の描写がとてもていねいで、彼らの軌跡を追ううちにすんなりとストーリーに入り込むことができた。
柴田さんの本を読んだのははじめてですが、文章にやっかいなくせがなくて説明が上手だなと思いました。
特に編集者の仕事場や作家との関係を使ったエピソードは、へえ、こんなふうなのかな、と考えたり
この人ってあの作家っぽいな、と想像力をかきたてられたりして楽しめました。
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