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読了しました

2009年02月24日 11:30

最近の読了記録
6)「サンタ・エクスプレス」 重松清著/文藝春秋


季節風シリーズの冬の巻。
重松さんの書く文章は、どれもすごくやわらかくて大好き。
味なやきいも屋さんがでてくる『あっつあつの、ほっくほく』は、
胸が痛くなって、どこかほっとする話。
高校生のころって、どうしてあんなに何事も真剣だったんだろう、と思わせられる。
『火の用心』も、高校生の幼なじみ女子の心情がリアルにつづられていて、
ああそうそう、こういう思いって大人になってもしてるよなあ、と思った。
タイトルにもなっている『サンタ・エクスプレス』は、もうもうもう、心憎いの一言。
すぱーんとストレートな喜怒哀楽でなく、だれもが持っている迷いや苦手意識、
気後れ、気遣い、劣等感などを書かせたら、この作者以上にうまいひとはいない。
どれも短いお話なんだけど、短くまとめたのではなくて、
その前と後にも人生が続いている一場面を、写真のように切りとった短編という感じ。

7)「少しだけ欠けた月」 重松清著/文藝春秋
こちらは同じく秋の巻。
秋って少し寂しくなる季節のような気がして、どんな話がでてくるのか緊張しました。
『オニババと三人の盗賊』は、最近は見かけなくなった頑固で怖いおばあさんが出てくる話。
でも、こういうオニババだったらなりたい気もする(笑)。
『風速四十米』とその続編『キンモクセイ』や『少しだけ欠けた月』は切ない話。
どれもちゃんと落ち着くところ、みんなの納得する結論がでているんだけれど、
そう簡単に割り切れないからひとの心って難しい。
だけど言葉の選びかたに愛情が感じられます。
『秘密基地に午後七時』も、幼馴染のグラデーションがリアル。
同級生って、親友と敵だけでは分類されないんだよね。
5人が作った秘密の会、こういうふうに集まるのもちょっといいなと思いました。




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