2008年11月13日 23:47
最近の読了記録
34)「図書館ねこデューイ」 ヴィッキー・マイロン著/早川書房
図書館に住む猫なんてちょっと素敵。
まして出身がわたしの心の故郷・アイオワときたら、もうもうもう、買わないわけにはいかないでしょう!
1988年の寒い雪の朝、図書館の返却ボックスから救いだされた、
オレンジ色の子猫・デューイの一生を、当時の図書館長を務めた作者の目で記録したノンフィクション。
スペンサーという小さな町の名を、聞いたことはあっても実際に訪れたことはなかった。
でも、その町がどのくらい素朴で質素できらびやかなところがないかは、
アイオワを知っている者ならたやすく想像がつくはずだ。
読みながら、見渡すかぎりのトウモロコシ畑とまっすぐな道路、
緑と黄色のトラクターや青い空がはっきりと思い出されて懐かしくなった。
そして、猫というのはなんて頑固でだれにも支配されなくて、自分の思い通りに生きられる生き物なんだろうと思った。
作者や町の人々がどれほどデューイを「猫以上」の存在にとらえているか、
またその他のさほど猫好きでない人々にまで影響をおよぼしているか、この本はあますところなく伝えている。
CMでひっぱりだこになったり、映画やテレビドラマに出たスター猫ではなく、
小さな町の図書館を運営している猫というのが、ものすごくアイオワの風土と合っている。
しかも、デューイは無理をしていない。
いつも自然体だ。
猫というのは不思議な生き物で、猫のほうから飼い主を選んでやってくるようなところがある。
たぶん作者・ヴィッキーにとっても、かけがえのない救いとなり癒しとなり、
時に笑いや忍耐を与えてくれて、大きな人生の導きにもなっていたことと思う。
18年という長い年月を生きたデューイの最後の処遇には、意見が分かれるところかもしれない。
わたしの先代の猫は天寿を全うしたが、動物といっしょに暮らす者としては
何が正しいのか最後の瞬間までわからないと思う。
だから、それまでどのくらい幸せな日々を過ごしてきたか、
どれだけ飼い主ときずなを深めてきたかが大事になってくるんだろうな。
また、作者自身も病気などで家族を失い、とてもつらい人生を歩んできた中で思うところがあってのことなのかもしれない。
デューイという猫の存在を通してときおり見え隠れする繊細な感情と、
アイオワ人らしいタフなところや、人生を輝かしいものにしようとたゆまぬ努力をしている彼女の生きざまこそが、タペストリーのような織物となって表現されている一冊だと思った。
34)「図書館ねこデューイ」 ヴィッキー・マイロン著/早川書房
図書館に住む猫なんてちょっと素敵。
まして出身がわたしの心の故郷・アイオワときたら、もうもうもう、買わないわけにはいかないでしょう!
1988年の寒い雪の朝、図書館の返却ボックスから救いだされた、
オレンジ色の子猫・デューイの一生を、当時の図書館長を務めた作者の目で記録したノンフィクション。
スペンサーという小さな町の名を、聞いたことはあっても実際に訪れたことはなかった。
でも、その町がどのくらい素朴で質素できらびやかなところがないかは、
アイオワを知っている者ならたやすく想像がつくはずだ。
読みながら、見渡すかぎりのトウモロコシ畑とまっすぐな道路、
緑と黄色のトラクターや青い空がはっきりと思い出されて懐かしくなった。
そして、猫というのはなんて頑固でだれにも支配されなくて、自分の思い通りに生きられる生き物なんだろうと思った。
作者や町の人々がどれほどデューイを「猫以上」の存在にとらえているか、
またその他のさほど猫好きでない人々にまで影響をおよぼしているか、この本はあますところなく伝えている。
CMでひっぱりだこになったり、映画やテレビドラマに出たスター猫ではなく、
小さな町の図書館を運営している猫というのが、ものすごくアイオワの風土と合っている。
しかも、デューイは無理をしていない。
いつも自然体だ。
猫というのは不思議な生き物で、猫のほうから飼い主を選んでやってくるようなところがある。
たぶん作者・ヴィッキーにとっても、かけがえのない救いとなり癒しとなり、
時に笑いや忍耐を与えてくれて、大きな人生の導きにもなっていたことと思う。
18年という長い年月を生きたデューイの最後の処遇には、意見が分かれるところかもしれない。
わたしの先代の猫は天寿を全うしたが、動物といっしょに暮らす者としては
何が正しいのか最後の瞬間までわからないと思う。
だから、それまでどのくらい幸せな日々を過ごしてきたか、
どれだけ飼い主ときずなを深めてきたかが大事になってくるんだろうな。
また、作者自身も病気などで家族を失い、とてもつらい人生を歩んできた中で思うところがあってのことなのかもしれない。
デューイという猫の存在を通してときおり見え隠れする繊細な感情と、
アイオワ人らしいタフなところや、人生を輝かしいものにしようとたゆまぬ努力をしている彼女の生きざまこそが、タペストリーのような織物となって表現されている一冊だと思った。
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