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読みました

2008年10月31日 12:10

最近の読了記録
32)「告白」 湊かなえ著/双葉社

いろんなところで紹介されている本をタイムリーで読みたくなることは少ないのですが(たいていは人より遅れて読みたくなる・笑)
この本はどうしても読みたくなってしまって、そして読んで大正解でした。
教師の告白からはじまるストーリーは、第1章だけでもものすごい衝撃なのに、
関係者の視点に移って続くその後のストーリーも語り口がなめらかで一気に読んでしまいました。
少年犯罪という切り口は『空白の叫び』とも通じるところがあるけれど、
本書のほうがきっちりと動機が書かれているぶん、フィクション性を強く感じました。
個人的には、犯罪ってすべてこんなにきっちり理由づけできないから怖いし救いがないと考えているんですけど。

主人公の語りで進むストーリーというのは、あっというまにページをめくってしまいますね。
少年Aがひたすら自分のことしか考えていないので薄ら寒くなるし、少年Bのほうは普通の少年が道を誤ったという感じ。
Aはその優秀な頭脳をプラスのほうに導いてくれるロールモデルが、これまた「優秀な母」しかいないと思い込んでいたところに悲劇が生まれ、
Bは過保護な母親や、あまりつっこんだことを言いたがらない家族からきちんと叱ってもらえず
かといってありのままの自分をも認めてもらえなかったせいで、拗ねてしまったところがボタンの掛け違いだったのかも。
この本を読むと、親の子どもに対する接しかたにも問題提起しているような気がします。

ラストはまったく予期していなかった終わりかただったのでびっくりしました。
教養がなくていいということではなく、馬鹿であるというのは人類という種のストッパーなのでは、と考えてしまいました。

33)「天窓のある家」 篠田節子著/新潮文庫

このひとの書かれる長編小説が大好きなのですが、短編もすごく好きです。
短編小説とはいっても情報量がけっこうあるので、「さらっと」は読めなくて
ページの途中で考えこんだり前のページにもどったり、そういうところが重厚で好きなんだと思います。
本書では2番目に収録されている『パラサイト』が良かった。
結婚もせずまともな仕事もせずに親の金で遊んではいても、人間ってだれかから頼られたいと思いながら生きているものなのかも。
はじめはしょーもないオンナのように見えた奈々実ですが、人生の意義が実家の家族っていうのもいいもんだなと思いました。




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