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2008年09月19日 12:15

最近の読了記録
26)「ランチブッフェ」 山田宗樹著/小学館

6つの短編が収録されたオムニバス。
『混入』は、農家からクレームを受けた農薬会社の営業マンとその女性助手が、どう対応していくかという話。
農薬会社ってこうやってクレームに対応してるのかな、と初めて考えをめぐらせました。
もちろんフィクションではあるけれど、たくさんの人がかかわってお米ができているんだなと。
ミステリ仕立てなんだけど、真摯でどこかほのぼのとしていて読後感も悪くない。
タイトルにもなっている『ランチブッフェ』は、実はこれをいちばん期待して読んだんだけれど、
やっぱり日本の主婦って生活感でしか差が作れないんだな、と思った。
平凡がいちばんの幸せで、それに気づくのは三十代も後半になってから。
そのころには、だれしもローンのひとつやふたつ抱えているだろうし、
夫の健康問題や子どもの進路、親の介護の話が出はじめるころだからかもしれない。
よく考えると、三十代が自分と周囲にいちばん変化があるときで、小説のモチーフとして書きやすいのかも。
『電脳蜃気楼』はデイトレってこういうことかー、と気づいた話。
作者の山田さんはほんとうにひきだしが多い作家だと思う。
『山の子』は、過去を振り返る儀式が神聖で、小粒だけどしんみりする話。
感情の描写がとてもていねいで、作者がこの主人公を大事にしているようすが伝わってきました。


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