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読了。

2008年08月18日 15:20

最近の読了記録
22)「時が滲む朝」 楊逸著/文藝春秋
芥川賞受賞の中国人作家というニュースを見てから、ずっと読みたいと思っていた一冊。
天安門事件を内側から見るとこうだったのか、と初めてわかった。

民主化とか民主主義っていったい何なんだろう。
だれでも自由に商売ができることか、世界中どこへでも出かけて見聞を広げられることか、
支持する政党を選べることか、役人や官僚の腐敗がなくなることか。
アメリカでも日本でも、生粋の民主主義なんてどこにもないような気がする。
以前、日本では「プライバシー」にあたる和訳がないのだと聞いたことがある。
今でこそプライバシーでだれもが意味を理解してるけど、はじめてこの言葉が国に入ってきた時はさぞかし理解しがたい概念だったんだろうな。
89年当時、中国での「民主主義」という言葉もそんな感じだったんじゃないかと思う。
香港の将来が心配で、留学先で友人たちと毎日食い入るようにしてニュースを見ていたことを思い返した。
あれから20年近くが過ぎ、いま彼の地ではオリンピックが開かれている。

作者は来日して20年になるというけれど、そのくらい長い年月を暮らさないと外国語で小説を書けるようにはならないんだろうなあ。
表記は若干漢字が多い気もしたけど(うちの夫もその傾向があるのですごくよくわかる・笑)、
表現がものすごく豊かで陰影があって、見習いたいと思いました。
農村の若者はほんとうに純真でまっすぐだし、中国の大学生はほんとうに勤勉だと思う。
ずっと手元に残しておき、いろいろ考えさせてもらいたい一冊。


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