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読了のみ

2010年02月10日 14:40

最近の読了記録
(6)「Nのために」 湊かなえ著/東京創元社


瀬戸内の島の東屋で、ビルの窓掃除のゴンドラの上で、古いアパートの一室で、わたしは「N」を守ることを決意した。
あれから十年、あの事件の真相はなんだったのだろう?
(本書オビより)

『告白』、『贖罪』と読んでかなり気に入っている湊さんの連作長編。
この本もモノローグ形式ですが、若干印象が変わっているような気がします。
杉下と安藤のやりとりとか西崎のキャラクターとか、ほんのすこしなんだけど、軽妙さが加わった感じ。
あと、登場人物がお互いを思いやっているところとか。
たとえば西崎の生い立ちにしろ杉下の境遇にしろ、以前から書き続けている暗さのようなものもあるんだけど、この話のほうが救いがあるように思いました。
野バラ荘でのようすとかね、殺伐とした中にも潤いのような癒しのようなシーンがあって、そこがとてもよかった。
次はどんな話を書いてくれるのか、これからも読んでいきたい作家の一人です。

(7)「カッコウの卵は誰のもの」 東野圭吾著/光文社

タイトルがかっこよかったので読んでみた一冊。
類まれな運動能力は遺伝するのかという興味深いテーマと、トップスキーヤーの娘が実は赤の他人かもしれないという事実を知られたくない父親の葛藤。
元スキーヤーである緋田の娘の風美が、どういうレベルのスキーヤーなのかちょっとわかりにくかった。
幼いころから才能を指摘されていてスキーのセンスがよく、ルックスもいいというのはわかったけど、オリンピックで入賞するレベルではない……むむむ、むずかしいなあ。

ミステリとして読むとよくできていて、単なる新生児のすり替え事件ではないところがふむふむと唸らせてくれました。
でもわたしは誘拐された側の、特に母親のあきらめのよさが気になりました。
裕福な家庭なのに、なんでもっと手を尽くして探さなかったんだろう?
ラストもちょっと急ぎ足というか、ああそういうオチだったんだ……としんみりしてしまった。
東野さんは『新参者』がドラマ化されるみたいなので、そっちも読んでみようかなと思っています。




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