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読了です

2010年02月04日 13:50

最近の読了記録
(5)「ゴールデンスランバー」 伊坂幸太郎著/新潮社


仙台で凱旋パレード中の首相が銃撃されたころ、青柳雅春はひさしぶりに旧友・森田と再会していた。
森田は尋常ではないようすで青柳が陥れられていることを告げ、「逃げないとオズワルドにされるぞ」と訴えた。
青柳雅春の、人生を賭けた逃走劇が始まった。

テレビで映画の予告編をチラ見してしまったら、ものすごーーく好みのストーリーだったのであわてて読んだ一冊。
どうしてこの本をマークしておかなかったのか、パグのしっぽ、痛恨のミス(笑)。
伊坂さんは『死神の精度』と『終末のフール』以外ちょっととっつきにくいような気がして読んでなかったのですが、これは直球の娯楽小説というだけあってとてもわかりやすく、スリル満載でドキドキしながら一気に読んでしまいました。

なにか大きなニュースがあると各マスコミの論調が一気に同調することがあるけど、そういう現象を気持ち悪いと思いながらもその気持ちを示す的確な言葉がわからない身としては、ああそうか、こういうことか、と思い当たるシーンがたくさんありました。
下地になっている首相の暗殺事件がケネディをベースにしてあるので飲み込みやすかったし、この首相周辺で起こったドラマも重厚でスピンオフができそう。
青柳と森田の学生時代のやりとりが時にばかばかしくて幼稚で、でももうその時には戻れないんだなと思うと切なくなりました。
ほんとうに、学生時代ってただ仲間とつるんでるだけでなんであんなに楽しかったんだろうねぇ。

この本は章の構成がすこし変わっていて、まず事件のはじまり、次に傍観者、ここでなんと事件の20年後に飛び、そして事件の詳細、最後が事件の3ヵ月後という順番になっています。
ミステリーだと知っていたので、ニュースを見ている傍観者ほどには話中のテレビの報道を信用せず「なんかあやしい」と思いながらページをめくっていたのですが、読者としてはバーンと事件をつきつけられて「真犯人」と思い込まされたところから一気に「真犯人ではなかったようだ」という20年後に飛んだら、もう真相解明へとなだれこむしかなくなるでしょー!(笑)

森田や晴子やカズをはじめ、脇役も青柳を追う側の警察官にいたるまですごく味があって、正直いって映画を観なくても頭の中で鮮烈に描けるほどでした。
現代よりもうちょっとセキュリティ度が上がって『ザッツ監視社会』化した日本が舞台ですが、道具って一度持っちゃうとどうしても使ってみたくなるんだろうなと思える例ですね。
現実の世界ではそんなに都合よく監視カメラに映像が残ってたり証拠を残してたりしないだろうから、逆にアイドル宅に押し入った強盗犯とか連続通り魔犯のキルオのほうが、この本を読んでいて筋書きのない「本物」という気にさせられました。
……トンカツ屋でカードで支払ってカード忘れていかないでしょ普通(笑)。
配役もなかなかの映画版も観て原作と比べてみたくなりました。




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