2009年10月30日 17:25
最近の読了記録
(34)「町長選挙」 奥田英朗著/文春文庫
トンデモ精神科医・伊良部シリーズの第三弾。
このシリーズ、テレビドラマで観たような記憶があるけど活字で読んだのは初めてです。
実在の人物たちを彷彿とさせるようなキャラクターが出てくる3編と、表題作の計4作が詰まった短編集で、どれも粒ぞろいでした。
これだけ仕事とマスコミとプレッシャーに追われていたら、そりゃあ神経壊れるよなという感じの人たちが出てきて、医者である伊良部の元をしかたなく(笑)訪ねてゆくんですが。
全編を通じていい加減なんだか腕がいいんだかわかなんない伊良部の描写が、第三者の目から見ると妙に的を射ていて滑稽でした。
看護師も明らかにやる気なさげで、患者として見たらこんなひとにはあたりたくないなぁと。
奥田さんは冷徹な作家なんでしょうか、おちゃらけた食えない作家なんでしょうか(笑)。
……個人的には、このシリーズとか『家日和』みたいな笑いの要素が入ったほうがキラッと輝く作家さんのような気がして好きですが。
どちらにしても、もっといろいろ読んでみたい作家の一人です。
(35)「第四の神話」 篠田節子著/角川文庫
早世した女性ベストセラー作家のほんとうの姿を取材する女性ライターの話。
出版業界のカラクリが見えるというか、流行作家ってこうやって作られるのかなあと考えてしまいました。
作中でも触れているように、本格的なものを持ってる作家や確固たるテーマのあるライターなら、編集側がことさらお膳立てしなくても売れるんでしょうね。
お膳立てしてもらったとしてももちろんそれはキッカケで、その後のキャリアは作家の資質にもよるんでしょうけれど。
あと、人柄っていうのも意外と大事なんですねぇ。
バブル期と平成不況下との比較も興味深く読んだし、40近くなってもまだぱっとしない女性ライターの拠りどころのない気持ちとか、有名大学出たのに結婚・育児でアイデンティティの喪失感を味わう主婦とか、女性心理の掘り下げかたは痛いくらいに伝わってきました。
……なんつーか、女ってほんとうにめんどくさい生き物だよね(笑)。
ほかにも、美貌のベストセラー作家を取りまいていた男性たちがいっぱい出てきます。
だいたいはああやっぱりね……というようなオトナの関係だったんだけど、終盤で「ええっ、この人もか!」と思わされるキャラクターがいて軽くショーック(笑)。
出版界と同じく芸術の世界も丹念に織り交ぜてあって、どっしりとした読んだ感のある1冊でした。
満足、満足。
(34)「町長選挙」 奥田英朗著/文春文庫
トンデモ精神科医・伊良部シリーズの第三弾。
このシリーズ、テレビドラマで観たような記憶があるけど活字で読んだのは初めてです。
実在の人物たちを彷彿とさせるようなキャラクターが出てくる3編と、表題作の計4作が詰まった短編集で、どれも粒ぞろいでした。
これだけ仕事とマスコミとプレッシャーに追われていたら、そりゃあ神経壊れるよなという感じの人たちが出てきて、医者である伊良部の元をしかたなく(笑)訪ねてゆくんですが。
全編を通じていい加減なんだか腕がいいんだかわかなんない伊良部の描写が、第三者の目から見ると妙に的を射ていて滑稽でした。
看護師も明らかにやる気なさげで、患者として見たらこんなひとにはあたりたくないなぁと。
奥田さんは冷徹な作家なんでしょうか、おちゃらけた食えない作家なんでしょうか(笑)。
……個人的には、このシリーズとか『家日和』みたいな笑いの要素が入ったほうがキラッと輝く作家さんのような気がして好きですが。
どちらにしても、もっといろいろ読んでみたい作家の一人です。
(35)「第四の神話」 篠田節子著/角川文庫
早世した女性ベストセラー作家のほんとうの姿を取材する女性ライターの話。
出版業界のカラクリが見えるというか、流行作家ってこうやって作られるのかなあと考えてしまいました。
作中でも触れているように、本格的なものを持ってる作家や確固たるテーマのあるライターなら、編集側がことさらお膳立てしなくても売れるんでしょうね。
お膳立てしてもらったとしてももちろんそれはキッカケで、その後のキャリアは作家の資質にもよるんでしょうけれど。
あと、人柄っていうのも意外と大事なんですねぇ。
バブル期と平成不況下との比較も興味深く読んだし、40近くなってもまだぱっとしない女性ライターの拠りどころのない気持ちとか、有名大学出たのに結婚・育児でアイデンティティの喪失感を味わう主婦とか、女性心理の掘り下げかたは痛いくらいに伝わってきました。
……なんつーか、女ってほんとうにめんどくさい生き物だよね(笑)。
ほかにも、美貌のベストセラー作家を取りまいていた男性たちがいっぱい出てきます。
だいたいはああやっぱりね……というようなオトナの関係だったんだけど、終盤で「ええっ、この人もか!」と思わされるキャラクターがいて軽くショーック(笑)。
出版界と同じく芸術の世界も丹念に織り交ぜてあって、どっしりとした読んだ感のある1冊でした。
満足、満足。
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