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更新しました

2010年02月20日 13:47

『涙のあとが消えるなら』第11話、更新しました。
ここ数か月更新が滞ってしまい、ほんとうに申し訳ありませんでした。
予定よりかなり遅れてしまいましたが、時間を工面して続きを書いているのでもうしばらくお時間をいただきたいと思います。
全体像としてはあと5話前後で完結する予定でいますが、もしかしたらすこし伸びるかもしれません。
ただ現在のところプライベートでちょっとばたばたしておりまして、4月おわりまで落ち着いて時間がとれるかどうかわかりません。
私事で心苦しいのですが、そういった事情もありまして、4月末までは多くても月に一度の更新になってしまうことをご了承ください。

ここのブログについては、稚拙ではありますがここで文章をつづることが気分転換になったり、作品以外のことでも交流ができたら楽しいなと考えながら運営しています。
サイトの大前提は小説群ですが、ブログもまたコメントやメールをいただけるきっかけとなる場であり、わたしにとっては憩いのスペースです。
また、頻繁に更新できない場合でも、サイト内での活動は続けているというサインでもあります。
とくに読了記録については、カウントしてある本は一部で実際にはここで触れている以上の書籍を読んでいます。
趣味として読むものもあれば、翻訳課題の資料、原作本、関連本など学習関係の書籍もあり、いずれにしてもその全てをブログに書きとめることはしていません。
ものを書くという作業はそれだけでは熟成せず、読むものがあるからこそ言葉を咀嚼し消化して、いずれ自分の言葉として書けるようになるのだと思っています。
翻訳学習にしても創作活動にしても、こうした日々のちょっとした文章の積み重ねはかならずプラスに働くと信じて続けてきました。
読了記録も大切にしているサイト活動の一環だと思っているので、これからも時間の許す限り続けていきたいと考えています。

更新が遅れたままなのに勝手な言い分であるということは充分承知しておりますし、訪問してくださるかたに対してわたしのわがままを強いていることは大変心苦しい限りです。
どうかご理解いただければ幸いです。

サーバーのトラブル?

2010年02月19日 14:53

今日はずっとサイトにもサーバーの各サービスにも繋がらなくて困ってます……。
サーバーのメンテナンス中に回線障害があったようで、只今サイトが表示できない状態になっています。
NINJA TOOLSのお知らせページには作業終了時刻が未定となっており、ログインができません。
迅速な復旧を待つばかりです。
ご不便をおかけしてすみません。

[追記]
復旧作業が終了したようです。
ふぅ、良かったー。

読了のみ

2010年02月10日 14:40

最近の読了記録
(6)「Nのために」 湊かなえ著/東京創元社


瀬戸内の島の東屋で、ビルの窓掃除のゴンドラの上で、古いアパートの一室で、わたしは「N」を守ることを決意した。
あれから十年、あの事件の真相はなんだったのだろう?
(本書オビより)

『告白』、『贖罪』と読んでかなり気に入っている湊さんの連作長編。
この本もモノローグ形式ですが、若干印象が変わっているような気がします。
杉下と安藤のやりとりとか西崎のキャラクターとか、ほんのすこしなんだけど、軽妙さが加わった感じ。
あと、登場人物がお互いを思いやっているところとか。
たとえば西崎の生い立ちにしろ杉下の境遇にしろ、以前から書き続けている暗さのようなものもあるんだけど、この話のほうが救いがあるように思いました。
野バラ荘でのようすとかね、殺伐とした中にも潤いのような癒しのようなシーンがあって、そこがとてもよかった。
次はどんな話を書いてくれるのか、これからも読んでいきたい作家の一人です。

(7)「カッコウの卵は誰のもの」 東野圭吾著/光文社

タイトルがかっこよかったので読んでみた一冊。
類まれな運動能力は遺伝するのかという興味深いテーマと、トップスキーヤーの娘が実は赤の他人かもしれないという事実を知られたくない父親の葛藤。
元スキーヤーである緋田の娘の風美が、どういうレベルのスキーヤーなのかちょっとわかりにくかった。
幼いころから才能を指摘されていてスキーのセンスがよく、ルックスもいいというのはわかったけど、オリンピックで入賞するレベルではない……むむむ、むずかしいなあ。

ミステリとして読むとよくできていて、単なる新生児のすり替え事件ではないところがふむふむと唸らせてくれました。
でもわたしは誘拐された側の、特に母親のあきらめのよさが気になりました。
裕福な家庭なのに、なんでもっと手を尽くして探さなかったんだろう?
ラストもちょっと急ぎ足というか、ああそういうオチだったんだ……としんみりしてしまった。
東野さんは『新参者』がドラマ化されるみたいなので、そっちも読んでみようかなと思っています。


読了です

2010年02月04日 13:50

最近の読了記録
(5)「ゴールデンスランバー」 伊坂幸太郎著/新潮社


仙台で凱旋パレード中の首相が銃撃されたころ、青柳雅春はひさしぶりに旧友・森田と再会していた。
森田は尋常ではないようすで青柳が陥れられていることを告げ、「逃げないとオズワルドにされるぞ」と訴えた。
青柳雅春の、人生を賭けた逃走劇が始まった。

テレビで映画の予告編をチラ見してしまったら、ものすごーーく好みのストーリーだったのであわてて読んだ一冊。
どうしてこの本をマークしておかなかったのか、パグのしっぽ、痛恨のミス(笑)。
伊坂さんは『死神の精度』と『終末のフール』以外ちょっととっつきにくいような気がして読んでなかったのですが、これは直球の娯楽小説というだけあってとてもわかりやすく、スリル満載でドキドキしながら一気に読んでしまいました。

なにか大きなニュースがあると各マスコミの論調が一気に同調することがあるけど、そういう現象を気持ち悪いと思いながらもその気持ちを示す的確な言葉がわからない身としては、ああそうか、こういうことか、と思い当たるシーンがたくさんありました。
下地になっている首相の暗殺事件がケネディをベースにしてあるので飲み込みやすかったし、この首相周辺で起こったドラマも重厚でスピンオフができそう。
青柳と森田の学生時代のやりとりが時にばかばかしくて幼稚で、でももうその時には戻れないんだなと思うと切なくなりました。
ほんとうに、学生時代ってただ仲間とつるんでるだけでなんであんなに楽しかったんだろうねぇ。

この本は章の構成がすこし変わっていて、まず事件のはじまり、次に傍観者、ここでなんと事件の20年後に飛び、そして事件の詳細、最後が事件の3ヵ月後という順番になっています。
ミステリーだと知っていたので、ニュースを見ている傍観者ほどには話中のテレビの報道を信用せず「なんかあやしい」と思いながらページをめくっていたのですが、読者としてはバーンと事件をつきつけられて「真犯人」と思い込まされたところから一気に「真犯人ではなかったようだ」という20年後に飛んだら、もう真相解明へとなだれこむしかなくなるでしょー!(笑)

森田や晴子やカズをはじめ、脇役も青柳を追う側の警察官にいたるまですごく味があって、正直いって映画を観なくても頭の中で鮮烈に描けるほどでした。
現代よりもうちょっとセキュリティ度が上がって『ザッツ監視社会』化した日本が舞台ですが、道具って一度持っちゃうとどうしても使ってみたくなるんだろうなと思える例ですね。
現実の世界ではそんなに都合よく監視カメラに映像が残ってたり証拠を残してたりしないだろうから、逆にアイドル宅に押し入った強盗犯とか連続通り魔犯のキルオのほうが、この本を読んでいて筋書きのない「本物」という気にさせられました。
……トンカツ屋でカードで支払ってカード忘れていかないでしょ普通(笑)。
配役もなかなかの映画版も観て原作と比べてみたくなりました。


春よ来い、な気分で

2010年02月01日 14:01

選抜試験の訳文、やっと終了しました!
わりと短めだったのでだいじょうぶかと思いきや、日本語にしづらい言い回しが多くてものすごーく頭を抱えました。
悩みすぎて寝不足になってしまった……しかも受かるかどうか定かじゃなく、場合によっては落ちるかも……ぐっすし。
とりあえず、読書に逃避しつつ今はゆっくり休みます。

最近の読了記録
(3)「GMO(上)」 服部真澄著/新潮社
(4)「GMO(下)」 服部真澄著/新潮社


GMOとはGenetically Modified Organismの略語で、遺伝子組み換え作物や生物のこと。
アメリカ在住の翻訳家・蓮尾一生は、あこがれてやまないアグリビジネスの実情を綴ったノンフィクションの翻訳権を手に入れ、南米ボリヴィアへ取材に出かける。
だが、さまざまな思惑が入り乱れたボリヴィアでコカ農家の真の姿を知り、見えない陰謀に飲み込まれてゆく。

わたしの好きな服部さんの作品らしく、CIAやDEAなど政府機関がばんばん出てきて、どんでん返しがふたつくらいあったので非常におもしろかったです。
あまり馴染みのないボリヴィアという国についても描写が鮮やかで、なんだか映画を一本観たあとのようにリアルな印象でした。
7~8年も前の作品ですが、あまり古臭さは感じません。
それどころか、遺伝子組み換え作物に関して当時すでにここまでの技術が(空想論としてでも)囁かれていたんだとしたら、今はどうなっちゃってるんだろう、と恐ろしくなる。
特に日本はこの種のことにきちんと論議がされないまま、もうすでに遺伝子組み換え食品がわたしたちの生活にがっちり入りこんでしまってるように思うので。

あと、本書はワインやコカ葉農家についても詳細に書かれていて、あらためて服部さんの情報収集能力とそれをうまくストーリーに絡めてゆく手腕に酔いしれました。
蓮尾とその編集者以外の登場人物はほとんど外国人なので、ものすごくよくできた翻訳小説を読んでいる気分になりました。
……しかし、ノンフィクションとか専門書の翻訳ってすげぇ……売れてる翻訳家はいい生活してるよなあ蓮尾さん(笑)。



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