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日々の雑記と翻訳修行日記、読了記録など。
 

 

 
最近の読了記録
(15)「ポジ・スパイラル」 服部真澄著/光文社


有明海の干潟や東京湾など、ニュースでもときおり取りあげられる環境問題をテーマにした小説ですが、味のある大学教授や政治家、アイドル出身の頭脳派俳優などが出てきて、海岸系の環境問題に詳しくなくてもなかなか楽しめました。
有明海の干潟はまた最近話題になっているようですが、昔の日本はほんとうに漁業の宝庫だったんだなと知りました。
横浜あたりはもっと工業地区というか開発が進んでる印象だけど、実際は豊かな漁場なんだな、と。
東京湾も少しずつきれいになって、また魚が獲れるようになっているんですもんね。
それにしても、日本にはこの本に出てくる久保倉のようなアイドルが見当たらないのは残念……やっぱり有力なアドバイザーがつかないと無理なのね。
報道番組に出てる人もいるけどだいたいが二十代だし、三十から上の社会派リポートもできる人はちょっと思いつかないもんなあ。

(16)「TOKYO BLACKOUT」 福田和代著/東京創元社

残暑厳しい8月の東京を襲う未曾有の大停電。
次々に鉄塔を破壊・爆破する犯人グループと、都市の生活を守ろうとする電力会社の社員たちを描くクライシス・ノベル。
初めて読んだ作家さんですが、スケールの大きさと人物描写の克明さに惹かれました。
犯罪者にもいろいろいるっていうのはわかるんですが、外国人を使われるとちょっとなぁ……切なくなる。
犯罪へと追いつめるのはいつも力を持っている側で、だいたいの場合が地元の人間――この場合は日本人――だし。
まあ、この話では犯罪に加担する側にも日本人はいますけれど。
福田さんは他にもこうした技術者系サスペンスを書いているので、続けて読む予定です。

電力って作り置きできないんですよね、知っていそうだけどよく考えないとわからないことがいっぱいで、ふだんの生活ってこんなに大勢の"職人さん"の手で作られてるんだなあ、と思い至りました。
たしかに日本全体で見るとめったに停電なんて起こらない。
……でも田舎ではけっこうあるんですよねー、もう何度か経験しましたよウチも(笑)。
台風とか雷とか、果ては野生動物(!)とかが原因でけっこう頻繁に停電しちゃうんだもんなー。
アメリカに住んでいたころも時々あったので慣れてるっちゃ慣れてるんですけど、そういう事態を念頭におくとオール電化にはできないかも。

 
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最近の読了記録
(13)「Story Seller」 伊坂幸太郎 他/新潮文庫


7人の作家による読みきり短編小説集。
有川さんの作品が読みたくて手にとったのですが、他の作品も予想以上に楽しめました。
中でも特に印象に残った作品を。
近藤史恵さんは『天使はモップを持って』しか知らなかったので、この本に収録されている『プロトンの中の孤独』を読んで、こんな小説を書いているんだ!と衝撃を受けました。
いままでまったく知らなかった自転車ロードレースの世界が垣間見られて、その繊細でありタフでもある人間関係の描写力に惹かれました。
有川さんの『Story Seller』はあまりに痛々しいというか、甘くはないけどものすごい恋愛小説だなと思わせてくれる濃い短編。
やっぱりラストがさみしい……残されるのが男性だと特にそう感じます。
道尾さんは以前に読んだ作品がどうしても受け入れられなくてそれっきりだったけれど、この本に収録されている『光の箱』もモチーフが裏暗いというか、好きではないです。
ただ、ラストできちんと幸せをつかんでいるヒロインたちが良かったのでかなり救われました。
ダークヒーローが暗躍する話とか、この人が書いたら似合いそう……と思わせてくれる作家さんかな。
本書でわたしのイチオシは、なんといっても本多孝好さんの『ここじゃない場所』。
失恋もので超能力もので非常に痛い話なんだけど、ラストがすごく響きました。
『大嫌い』の使い方をここまで心得てて、しかも辛気臭くならない失恋小説なんてなかなかお目にかかれない。
そういう意味で、この話を読めてすごく良かったです。
この作品は何か長編の序章というか番外編ぽい感じもするので、もしこのグループのほかの話があるならぜひぜひ読んでみたい。

(14)「冷静と情熱のあいだ Blu」 辻仁成/角川文庫

初めて辻さんの作品を読みました。
すごくおしゃれというか繊細な文章で、もしかしたらわたしが持っている本人のイメージと被ってるのかもしれないけど、どことなくヨーロッパっぽい(笑)。
修復士という職業をもっとよく知りたくてこの本を読みはじめたのですが、ふたりの心の動きを知りたくて赤い表紙のRossoもただいま読み進めています。
ヨーロッパの絵画を修復するという仕事は、壮大な過去と向き合い、それを未来へ送りだす手助けをする仕事なんだな、とおぼろげながらわかりました。
だれかが修復してくれるから、現代でもこうやって芸術を楽しめるんだな。
日本でも修復士さんはたくさん活躍されてると思いますが、ヨーロッパの修復士さんは日本の宮大工さんともちょっと似てますね。

 

 

 

 

 
ブログの更新も間があいてしまいました。
やるべきことがまだあるので通常モードに戻れるまでにはもうちょっとかかりますが、ひとつひとつ役目をこなしてがんばっているところです。
……それにしても今年の春は肌寒いですね。
ちょっと風邪をひきました(涙)。

さて、先月末に読了していた本を一冊メモしておきます。

最近の読了記録
(12)「新参者」 東野圭吾著/講談社


『カッコウの卵は……』を読んだときは、正直、もう一声!という印象だった東野氏。
『新参者』はドラマ化されるというので読んでみました。

東京の下町を舞台に、全9章から成り立っている連作短編ミステリ。
各章ごとに出てくる人物の職業も年齢も異なるのですが、加賀という刑事が殺人事件の聞き込みをしにやってきます。
ひとりひとり丹念に話を聞いて、さまざまな可能性に頭をめぐらせる加賀は刑事の鑑だと思いました。
そしてまた、一見悪そうに見える嫁と姑の仲が実はちょっと違っているのに気づいたり、ひとつの指輪からヒントを得たりするところが鋭いというか、繊細。
事件のせいで悲しい思いや嫌な思いをしたひともさりげなく気遣っていて、やさしい刑事なんだなということもわかりました。

実際の捜査もこんなふうに丁寧に人物観察できるのかわからないけど、フィクションとして読む分にはものすごく「満たされた感」があります。
出てくる人物もみんないいひとで、わたしはふだんあまりそういう話は読まないんだけれど、でも読後感はすごくよかったし謎解きもみごとで満足でした。
ドラマでは加賀を阿部寛氏が演じるようで、どんな加賀恭一郎になるのか楽しみです。

次は『冷静と情熱のあいだ』を読みます♪

 

 

 

 

 
コメントありがとうございます。
感想をいただいたときは一気に気持ちが上がるのが自分でもよくわかります(笑)。
読んでくださってるんだなあ、と思うとお言葉が身にしみます。

最近の読了記録
(11)「桐島、部活やめるってよ」 朝井リョウ著/集英社


新聞か何かで紹介されているのを見たとき、タイトルのインパクトが大きくてどうしても忘れられず、けっきょく読んでみました(笑)。
タイトルになった桐島はいっこも出て来ず、ほかの誰かの視点をとおして短編連作で描写されるというニクイ技法が使われています。
べつの人物をとおして描写されるほうが、読者としては客観的に見られておもしろい。

高校生活が舞台の小説なんてふだんあまり読まないせいか、この本が自分の高校生活とかけ離れているせいか、あっさりとした目で読めました。
……「上」とか「下」とか「最上」とか、いまの17歳ってこんなに自分の立ち位置わかってるものなのかな?
そもそも立ち位置って決めないといけないものなのかな?
だとしたらすごーく面倒そうっていうか、生きづらいだろうなあ。

やりたいことがわかっている映画部のふたりがいちばんまぶしかった。
前田本人の話はふんふんと思いながら読んだけど、ラストの菊池の目をとおして見た映画部にすごく共感しました。
菊池も沙奈も薄っぺらくてしょーもないんだけど。
そんな中でただひとり、実果の背負っているものが大きくて、きっとおとなだってほとんどのひとが苦労するだろうに、ちゃんと実果なりにしょって立っているところが偉いなと思いました。
考えたり悩んだりするのって、つらいし面倒だしもうやめたいと思うときも多いだろうけど、そうしないと前へ進めないというメッセージなのかも。
桐島視点の話も読んでみたい。

 

 

 

 

 
最近の読了記録
(9)「ロスト・シンボル(上)」 ダン・ブラウン著/角川書店
(10)「ロスト・シンボル(下)」 ダン・ブラウン著/角川書店


ラングドン教授シリーズの第3弾。
旧友・ソロモンに頼まれて講演をするためにワシントンDCへと駆けつけたラングドンだったが、そこにソロモンの姿はなく、彼の切断された右手首を発見する。
旧友はマラークという人物に誘拐され、マラークはフリーメイソンの最高位だけが知る「古の門」を探せとラングドンに命じた。
どこから聞きつけたのかやってきたCIA局長も「国家の危機だ」とラングドンに同行し、フリーメイソンの秘密を軸にしてDCを縦横無尽に駆け回る謎解きが始まった。

いやー、楽しませてもらいました。
この作者の日系人の命名のしかたには首を傾げたくなりますが(笑)、前2作に負けず劣らず薀蓄満載で読み終わるのがもったいないくらいでした。
ワシントンDCは大学時代に訪れたことがあったので(『ワシントンの神格化』なんて同じ角度から写真撮ってあるし!)、ヨーロッパよりずっと親近感があったせいで楽しめたのでしょうが、それにしてもわたしはいままでフリーメイソンという結社をかなり誤解していました。
……まあ、世の中にそれほど情報が出ていないってこともあるんでしょうけれど。
儀式に象徴されるようなおどろおどろしい悪魔信仰なわけはなく、秘密を守ってゆくための結社という印象を受けました。
ダン・ブラウンはどうやって取材をしたんだろう……と、そっちのほうが気になります。

本書はアメリカ建国時代からの秘密をめぐるストーリーと平行して純粋知性科学に関してのストーリーも描かれていますが、科学って突きつめすぎるとほんとうにオカルトチックになるというか、魔術みたいなものになってゆくんですかね。
仏教の浸透している日本では死後の世界だとか転生だとかも(信じる信じないは別として)時に話題にあがるので、そーんなに「大発見」かなあ?と首を傾げたくなりましたが。
魂に重さがあったよ、だからなに?という感じ(笑)。

読める人が見れば読み解ける情報が、世界のだれもが知っているもの(ネタバレになりそうなので、あえて名称は伏せますが)に隠されているっていうのはすごく納得できます。
そうじゃないと世に広める意味がないよね。
秘密っていうのは単にひた隠すよりも、公開しておいてある程度の時間と労力を割いて読み解いてもらうものなのかもしれません。
キーワードがごく当たり前の語句だと、額面どおりの意味でとらえて素通りすることが多いですもんね。
ラングドンの専門である象徴学ってほんとうにおもしろいなあと思います……聴講してみたい(笑)。

 

 

 

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