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どぅわー

2010年03月02日 14:47

きゃー、だいぶ間があいてしまいました!
いろんなことにがんばっております。
ちょこちょこブログにも戻ってきますので、よろしかったら読んでやってください。

最近の読了記録
(8)「噂」 萩原浩著/新潮文庫


「ミリエルをつけてるとレインマンに襲われないんだって」
そんな口コミは香水を売り出すために仕掛けられた戦略だったのに、やがて噂は現実のものとなり、連続殺人事件が起こる。

姿の見えないレインマンと、小暮と名島を中心とした捜査班、噂を作りだした企画・広告会社、そして渋谷の女子高校生たち。
どの登場人物も背景がきちんと組み立てられているなかでストーリーが進んでゆくので、先が気になってどんどんページをめくってしまいました。
設定が10年近く前の東京だから若者文化も今とはだいぶ違うけど、口コミの伝播力はなるほどなあと思わせてくれる。
とにかく人物描写がすばらしくて、わたしはどうしても小暮・名島コンビに肩入れしてしまったけれど、女子高生のやりとりも殺伐とした会社社会で生きる人間の裏描写もとても読み応えがありました。
「フェチ」という言葉は今ではときどき耳にするけれど、本来のフェティシズムってすごく恐ろしい言葉なんだとだいぶ昔に犯罪学で習った記憶があります。
この本のラストでそれを思い出しました。

つぎはおそらく『ロスト・シンボル』を読みます♪

読了のみ

2010年02月10日 14:40

最近の読了記録
(6)「Nのために」 湊かなえ著/東京創元社


瀬戸内の島の東屋で、ビルの窓掃除のゴンドラの上で、古いアパートの一室で、わたしは「N」を守ることを決意した。
あれから十年、あの事件の真相はなんだったのだろう?
(本書オビより)

『告白』、『贖罪』と読んでかなり気に入っている湊さんの連作長編。
この本もモノローグ形式ですが、若干印象が変わっているような気がします。
杉下と安藤のやりとりとか西崎のキャラクターとか、ほんのすこしなんだけど、軽妙さが加わった感じ。
あと、登場人物がお互いを思いやっているところとか。
たとえば西崎の生い立ちにしろ杉下の境遇にしろ、以前から書き続けている暗さのようなものもあるんだけど、この話のほうが救いがあるように思いました。
野バラ荘でのようすとかね、殺伐とした中にも潤いのような癒しのようなシーンがあって、そこがとてもよかった。
次はどんな話を書いてくれるのか、これからも読んでいきたい作家の一人です。

(7)「カッコウの卵は誰のもの」 東野圭吾著/光文社

タイトルがかっこよかったので読んでみた一冊。
類まれな運動能力は遺伝するのかという興味深いテーマと、トップスキーヤーの娘が実は赤の他人かもしれないという事実を知られたくない父親の葛藤。
元スキーヤーである緋田の娘の風美が、どういうレベルのスキーヤーなのかちょっとわかりにくかった。
幼いころから才能を指摘されていてスキーのセンスがよく、ルックスもいいというのはわかったけど、オリンピックで入賞するレベルではない……むむむ、むずかしいなあ。

ミステリとして読むとよくできていて、単なる新生児のすり替え事件ではないところがふむふむと唸らせてくれました。
でもわたしは誘拐された側の、特に母親のあきらめのよさが気になりました。
裕福な家庭なのに、なんでもっと手を尽くして探さなかったんだろう?
ラストもちょっと急ぎ足というか、ああそういうオチだったんだ……としんみりしてしまった。
東野さんは『新参者』がドラマ化されるみたいなので、そっちも読んでみようかなと思っています。


読了です

2010年02月04日 13:50

最近の読了記録
(5)「ゴールデンスランバー」 伊坂幸太郎著/新潮社


仙台で凱旋パレード中の首相が銃撃されたころ、青柳雅春はひさしぶりに旧友・森田と再会していた。
森田は尋常ではないようすで青柳が陥れられていることを告げ、「逃げないとオズワルドにされるぞ」と訴えた。
青柳雅春の、人生を賭けた逃走劇が始まった。

テレビで映画の予告編をチラ見してしまったら、ものすごーーく好みのストーリーだったのであわてて読んだ一冊。
どうしてこの本をマークしておかなかったのか、パグのしっぽ、痛恨のミス(笑)。
伊坂さんは『死神の精度』と『終末のフール』以外ちょっととっつきにくいような気がして読んでなかったのですが、これは直球の娯楽小説というだけあってとてもわかりやすく、スリル満載でドキドキしながら一気に読んでしまいました。

なにか大きなニュースがあると各マスコミの論調が一気に同調することがあるけど、そういう現象を気持ち悪いと思いながらもその気持ちを示す的確な言葉がわからない身としては、ああそうか、こういうことか、と思い当たるシーンがたくさんありました。
下地になっている首相の暗殺事件がケネディをベースにしてあるので飲み込みやすかったし、この首相周辺で起こったドラマも重厚でスピンオフができそう。
青柳と森田の学生時代のやりとりが時にばかばかしくて幼稚で、でももうその時には戻れないんだなと思うと切なくなりました。
ほんとうに、学生時代ってただ仲間とつるんでるだけでなんであんなに楽しかったんだろうねぇ。

この本は章の構成がすこし変わっていて、まず事件のはじまり、次に傍観者、ここでなんと事件の20年後に飛び、そして事件の詳細、最後が事件の3ヵ月後という順番になっています。
ミステリーだと知っていたので、ニュースを見ている傍観者ほどには話中のテレビの報道を信用せず「なんかあやしい」と思いながらページをめくっていたのですが、読者としてはバーンと事件をつきつけられて「真犯人」と思い込まされたところから一気に「真犯人ではなかったようだ」という20年後に飛んだら、もう真相解明へとなだれこむしかなくなるでしょー!(笑)

森田や晴子やカズをはじめ、脇役も青柳を追う側の警察官にいたるまですごく味があって、正直いって映画を観なくても頭の中で鮮烈に描けるほどでした。
現代よりもうちょっとセキュリティ度が上がって『ザッツ監視社会』化した日本が舞台ですが、道具って一度持っちゃうとどうしても使ってみたくなるんだろうなと思える例ですね。
現実の世界ではそんなに都合よく監視カメラに映像が残ってたり証拠を残してたりしないだろうから、逆にアイドル宅に押し入った強盗犯とか連続通り魔犯のキルオのほうが、この本を読んでいて筋書きのない「本物」という気にさせられました。
……トンカツ屋でカードで支払ってカード忘れていかないでしょ普通(笑)。
配役もなかなかの映画版も観て原作と比べてみたくなりました。


読了

2010年01月21日 13:08

ただいま選抜試験に取り組んでまして、サイト・ブログ共に更新が滞っております。
もうしばらく時間がかかると思いますが、ブログにはちょこちょこ戻ってくるつもりでいますので、のんびりおつきあいくださると嬉しいです。
特に『涙のあとが……』、お待たせ中で申し訳ありません!
試験に受かったら受かったでまた忙しくなるのですが(かといって暇になるのはイヤン・笑)、今年ものんびりゆるゆるとサイトを進めていくつもりでいます。
受験生や通信教育生、語学スクールで勉強中のかた、お互い望む場所にたどり着けるよう願っています☆

最近の読了記録
(2)「熱氷」 五條瑛著/講談社文庫


血の繋がらない姉の訃報でカナダから帰国した氷山ハンターの恒星と、「ポセイドン」と名乗るテロリストとの攻防を描くミステリ。
先が気になって気になって、一気に読みきってしまいました。
この小説で、氷山ハンターなる職業があることを初めて知りました。
スケールの大きさと相反する緻密さがないとできない職人技で、それがまたこの無骨な恒星にとてもよく似合っている。
光晴とのやりとりもゆっくりとしてるけど自然な雰囲気で、慈愛が感じられた。
武器商人の双子とか滑川とか、この手の美形にはもう食傷気味だけど、恒星と姉の朱音の関係がすごくいい。
こういうふうに、外見じゃなく精神面での「美形」が出てくる話ならもっともっと読んでみたい。

ただ、ラストのけりのつけ方はどうかな……やっぱりできなかった、っていうほうが、何より大事な光晴のためにも良かったんじゃないかと思う。
続編もあったらいいのにな、と思わせるキャラ立ちの一冊。
大満足です。

2010年の1冊目

2010年01月07日 14:29

最近の読了記録
(1)「百年の恋」 篠田節子著/朝日文庫


2010年の1冊目は篠田さんの、年収200万のライター兼翻訳家の真一と才色兼備のエリート銀行員・梨香子の織りなす結婚生活と子育てのようすを描いた結婚騒動小説。
主人公は真一。
なので、仕事はできるけど家事育児まったくダメで、しかも家の内と外では別人の梨香子の心情が一切わからないのが惜しい。
ここまで自分優先で、夫すら愛情や居心地のよさでなく「どこまで使えるか」で選んでそうな女性いませんて(笑)。
真一が自分に自信を持てなくて他人とのコミュニケーション下手なのに対して、梨香子は「女」というジェンダーに反発するあまりものすごい葛藤を抱きすぎ。
なにもそこまで肩肘張らなくても……とおなじ女ながら思ってしまいました。
こんなにがんばっていて、「人間として」疲れないのかなあ?

真一の本来の職業がSF小説の翻訳家だったので、そこの部分は「おお!」と興味深く読みました。
たしかに収入は低いけど、原作を好きでしかも的確な英語力と作家レベルの日本語力がなくちゃできない仕事だよね。
……いいな、わたしもがんばろう(結局そこか・笑)。

さて、このあとも読み止しのままだった本をがんがん読んでいきますよ!




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